「そこの坊や、アメをあげよう」
僕は今、たまに公園に現れるワイシャツ姿のおじさんを眺めてる。
おじさんは公園のベンチで、近くを通る子供を見つけては声を掛けていた。
けれど足を止める子はいない。
…話くらい聞いてあげてもいいのに。
前、母さんにおじさんの話をした。
母さんは、
「絶対もらっちゃだめよ。変なものが入ってるかもしれないし」
と言ってた。
僕はそうは思わないって言ったら、軽くケンカになった。
…母さんは分かってくれない。
僕は意を決して、おじさんに話しかけてみた。
「ねえ、おじさん。アメちょうだい」
おじさんは一瞬驚いたような顔をしたけど、満面の笑みでアメをくれた。
「おじさんはこうして声をかけ続けてるんだけど、子どもたちは誰も足を止めてくれなくてね」
おじさんは話を続ける。
「やっぱり不審者だと思われてるのかな…」
そう言うとさびしそうに笑った。
「違うよ。ほんとは分かってるんでしょ?」
「え…?」
「だっておじさん、体が透けてるじゃん」
「ははっ、そうだね。坊やの言うの通りさ」
おじさんは穏やかに目を閉じた。
「公園の前の道路で、事故に遭ったんだ。たしか子供を迎えに行く途中だったか……あとはもう、思い出せないなぁ」
前に母さんから、昔このあたりであった事故のことを聞いた。
暴走した車が子供をひき逃げして、その先で男の人をはねたらしい。
事故があったのは僕が生まれる前。
公園が出来たのもその頃だった。
ということは、おじさんはもう十年以上この公園にいるんだろう。
「おじさん。」
「ん?」
「アメ、美味しかったよ。ママの味だね」
「そうかい!うちの子の大好物でね……
ああ、そうか……もうあの子もここにはいない……早く行かないと…!」
おじさんは消えていった。もうここには現れないだろう。
おじさんと、そのお子さんのことを考えると少し涙が出た。
これはぼくが退魔師になる前の、子供の頃の出来事。
~あとがき~
この物語は少し前に書いたものでのう( ´∀`)フォッフォッ
かの、ママの味で有名なアメ・ミルキーのことがふと頭に浮かび…
お父さんがあげたらパパの味なのでは?
…などとわけわからん妄想をしてのう(・ω・)←
そこから真面目な話を考えてみたのじゃった。
出来上がったものの、ちと切ない話になってしもうたわい( ˘ω˘ )シュン
後半の退魔師のくだりじゃが……
まあそういうキャラを連想して考えたと思うて流しておくれ←
実は一度某所に提出したものじゃが、後で見るとちとおかしい描写があった(・ω・)
そんなわけで、少しばかし書き直してここに載せたのであった( ˘ω˘ )✨
と、そうそう。
これを上げるにあたり、カテゴリーに【創作話】を追加したぞ!
それに伴い、真面目に書いた物語はこちらに移動させたぞよ( ´∀`)フォッフォッ
※浪漫信州三月。も真面目に書いたのじゃが、除外した。理由は察しておくれ!
さてさて、そろそろお暇するぞよ。
拙いお話じゃったが、読んでくれてありがとね( ˘ω˘ )✨
鬼崎がお送りしたぞ!さらばじゃ!( ´∀`)ノシ
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